初心者でも簡単!オーブン陶土で爬虫類用ウェットシェルターを自作してみた
株式会社ヤコさんから販売されている”オーブン陶土”を使って、レオパのウェットシェルターを自作してみました。
過去に作ったモルタルシェルターと比べて細かい造形が難しいですが、硬くて丈夫でそこそこの重量もあるので、レオパやニシアフ向けの小型シェルターには適していると思います。
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完成イメージ
オーブン陶土で一番最初に作ったのはレオパ用のウェットシェルターでした。
このシェルターの上に水を溜める窪みがあり、そこから染み込んだ水がシェルター内部まで浸透して湿度を調整することができます。
湿度調整機能としてはスドーさんの素焼きシェルター同等レベルです。
所々焦げていますが、これはこれで味があって気に入っているので、他のシェルターを洗浄している間のサブ使いしています。
オーブン陶土を準備する
オーブン陶土とは?
日本で初めて、低温度(180度以下)の焼成で実用強度が得られる特殊陶土です。
加熱することにより繋ぎ材(ポリエチレン・コーンスターチ)が土の間に浸透し、強度を出します。
◎実用強度がある
引用元:ヤコのホームページ オーブン陶土の特徴(http://www.yako.co.jp/TOKUCHOU.html)
◎扱い易い(練らずに使える。焼き上げ後の成形が可能)
◎本陶芸と同じ手法が使える。(ロクロも使える)
◎コート剤「Yu~」をぬることにより、食器としての使用が可能
要は自宅でクッキーを焼くぐらいお手軽に陶芸ができる陶土です。
自由に練って形を作るという点では粘土という選択肢もありますが、オーブン陶土を使用する利点としては水回りに使えて洗えることです。
素焼きで使えば陶土に水が染み込んで湿度調整ができるウェットシェルターとなり、
また別売りの専用釉薬を塗れば撥水性が生まれるので、水入れとして使用することもできます。
オーブン陶土は爬虫類に使っても大丈夫?
オーブン陶土のパッケージには厚生労働省の食品安全基準に合格していると記載があります。
少なくとも人間に関しては、この陶土で作った食器に食べ物を並べたり水を汲んだりしても安心して口にできるようです。
オーブン陶土の繋ぎ剤の1つであるポリエチレン(PE)は、ポリバケツやビニールなどに使われている合成樹脂です。
ポリエチレンは無毒無臭なので、爬虫類が舐めて調子が悪くなったり、水中に沈めて水質が変化するなどは考えにくいです(これがダメならほとんどのプラスチックシェルターはアウトです)。
もう1つの繋ぎ剤成分のコーンスターチはとうもろこし由来のデンプンで、お菓子作りなどにも使われています。
こちらは食品として流通しているものなので問題にはなりにくいでしょう。
残るは陶土の方ですが、陶土の詳細は不明なものの、冒頭で書いた通り食品安全基準には合格しているので、あからさまに有害な物質は含まれていないと思います。
オーブン陶土のパッケージに詳細な成分の表記がないので、爬虫類や魚類に対して100%大丈夫とは言えないけど、少なくとも今までレオパやツノガエルに使って体調に影響が出たことはないよ。
陶土のカラーバリエーションは工作用・黒木節・紅陶・ミルクの4種類
ヤコさんのオーブン陶土はろくろ用や土に還るタイプなど色々な種類を取り揃えています。
使いやすい通常版の陶土の場合、21年12月現在、4色のラインナップがあります。
陶土の上からアクリル塗料を塗る場合は何色を使っても良いとは思いますが、色味をそのまま出したい場合の参考にして下さい。
また、焼き上げ温度によっても微妙に色合いが違ってきますので、何度か試してみて納得の色になると良いですね。
ミルク(白)は使ったことがないけど、画像検索で見ると少し黄色味のある白になるみたい。
他の陶土より少しお高いけど、白系のレイアウトする場合に使えそうかな。
オーブン陶土を開封してシェルターの形を作る
オーブン陶土は生産段階でよく練られてから出荷されているので、陶土をパッケージから出したらすぐに形を作ることができます。
作りたい作品によりますが、陶土1袋程度なら練り直す必要はありません。
結構固いので、柔らかくしたい場合は手に水を含ませて練り直すと扱いやすくなります。
しかし、水分を含ませた量に比例して乾燥時間が延びるので、オーブン陶土に慣れるまでは柔らかくせずにそのまま使うことをオススメします。
また初心者の場合、1作品目は陶土1個分で作れる大きさから始めることをオススメします。
理由としては作品が大きくなると乾燥時間と焼き上げ時間が多くかかり、万が一割れた時の損失が大きくなるからです(オーブン陶土は1袋500円程度)。
2作目以降は陶土2個分でチャレンジしたこともあるけど、結構割れて失敗しているよ。
乾燥中に割れる程度なら水で戻して復活できるけど、焼き上げ後に割れると復活不可能だから注意してね。
陶土の表面が乾いたら化粧土で絵付けする
ヤコさんのオーブン陶土シリーズは専用の白い化粧土が用意されています。
この化粧土はある程度乾燥した陶土に上から薄く塗って使うものです。
もし乾燥前の陶土に塗ると化粧土がひび割れたり、陶土の色と混ざったりすることがあるので、ある程度表面が乾燥した状態で塗るようにして下さい(1日以上おくことをオススメします)。
ちなみに今のところ色は白しかありません。もうちょっとレパートリーが欲しいです。
私は普段オーブンで焼く前に塗っているけど、オーブンで焼いた後に塗って2度焼きしても定着するみたい。
焼く前は難しいけど、焼いた後なら失敗しても洗い流せるので、複雑な模様を描きたい方は後塗りの方が良いかな。
家庭用オーブンでのオーブン陶土の焼き方
とにかく乾燥!オーブンで軽く炙って残りの水分を飛ばす
陶土が1袋程度なら開封して1週間もすればほぼ乾燥しきっているとは思いますが、
念の為、オーブンで短時間炙って内部の水分を完全に取り除きます。
陶土の芯から乾燥していないと、温度を上げて焼いた時に内側から爆発する可能性がありますので、ここでしっかり乾燥させる様にしましょう。
私の場合は使用しているオーブンの最低温度の100度で設定しましたが、ポリエチレンの温度特性上、より低い80度などで設定できる方はそちらの方が樹脂の形質を変化させにくいので良いかと思います。
炙った時にオーブンのガラス面が曇るようなら水分が多すぎますので、もう何日か乾燥させた方が割れる可能性が低いです。
参考までにこれまでの作品の乾燥時間と炙った時間をまとめましたのでご参考下さい。
作ったもの | 陶土の量 | 乾燥時間 | 設定温度 | 炙り時間 |
---|---|---|---|---|
ウェットシェルター(初代) | 1袋 | 7日間 | 100度 | 10分 |
カエル用シェルター | 2袋 | 8日間 | 100度 | 10分 |
ウェットシェルター(2代目) | 2袋 | 14日間 | – | – |
この手順はしっかり乾燥させるために行っているだけで、早く乾燥させるための方法じゃないよ。
陶土で形を作った当日にこの方法で乾燥させた場合は割れるかも・・・?
160〜180度に設定して焼き上げる
十分に乾燥したらオーブンの温度を160〜180度の範囲で上げて焼成します。
陶土1袋でシェルターを作る程度の厚みなら、一気に焼き上げてもそうそう割れないと思いますが、心配なら徐々に温度を上げる様にして下さい。
植木鉢のような大物を作る際は、陶土の内側と外側で温度差が発生しやすく、陶土の収縮具合によっては亀裂が入る可能性があります。
またオーブン内の温度も熱源近くとそれ以外の場所で微妙に均一ではないので、大きければ大きいほど温度差が生まれて割れやすくなります。
大物を作る場合は陶土の中の温度が均一に上がるように慎重に焼くようにしましょう。
作ったもの | 大きさ | 平均厚み | 設定温度 | 焼成時間 |
---|---|---|---|---|
ウェットシェルター(初代) | 100×150×40mm | 10mm | 160℃ | 50分 |
カエル用シェルター | 130×150×70mm | 10mm | 160℃ | 50分 |
ウェットシェルター(2代目) | 200×80×50mm | 10mm | 160℃ | 50分 |
オーブントースターなど温度調整ができない電化製品で焼き上げるのはNGだよ。
300度を超えてくると樹脂が発火して最悪火事になる可能性があるから、必ずパッケージに記載されている上限温度の180度を守ってね。
撥水性が欲しい場合は釉薬を塗ってもう一度焼く
ウェットシェルターを作る場合は素焼きのままでも良いですが、水入れを作る場合は、素焼きのままだと撥水性が悪く、陶土に水が染み込んでしまいます。
陶器の上から釉薬(ゆうやく)を塗って保護することで、作品に艶を持たせたり、撥水性を増したりすることもできます。
塗って乾燥したらオーブンを100〜120度に設定して15〜20度で焼いて定着させます。私の場合、110度で20分焼いています。
まとめ:最初の作品は失敗前提で小さいものから作ろう
といった感じで、今回はヤコさんのオーブン陶土を使ったウェットシェルターの作り方を紹介しました。
オーブン陶土で作品を作る手順としては以下の通りです。
- オーブン陶土をコネコネして好きな形を作る
- 十分に乾燥させる(1週間ぐらい)
- 160〜180度に設定したオーブンで50分焼く
モルタルシェルターの制作工程に比べたら時間はかかりますが、準備するものが少ないので断然楽です。
シンプルな手順ではありますが、経験上最も重要なのは手順2で、とにかく乾燥時間は長めに取っておくことだと思います。
特に陶土を何袋も使うような大物を作る際は、陶土の中まで乾燥していない場合に割れることがある様なので、そうなったらお財布的にもメンタル的にも致命傷です。
また、ここで紹介した手順は「陶芸?まぁかじったことがあるけど?(ドヤ顔)」レベルの人が書いていますので、オーブン陶土熟練者の方は私が紹介した方法よりもっと良いやり方を知っていると思います。
何か間違った内容やコツなどありましたら、コメントなど残してもらえると励みになります。