コーンスネーク用に下開きタイプの木製飼育ケージを自作してみた【メンテナンス性UP】
みなさんはお部屋のどこで爬虫類を飼育していますか?
何匹も爬虫類を飼育する一部のマニアの方は飼育専用のラックなどを用意していたりしますが、最近飼育を始めた方は元々持っていた本棚やオープンラックに爬虫類を飼育するスペースを確保されているのではないでしょうか。
しかし、そういった限られた空間に市販品の飼育ケージを設置しようとすると、微妙にラックの幅が足りなかったり、ケージの高さを確保するために棚の上下段が異常に狭くなったりと、なんだかちょっと収まりが悪い、そんな状況になることが多いと思います。
今回は、そういった限られた空間にピッタリな飼育ケージを用意する方法として、
オープンラックの棚の間に飼育ケージを設置したいけど、市販のケージは高さが合わないわ・・・棚の高さにピッタリ収まってメンテナンス性の良い飼育ケージはないかしら?
ベビーでお迎えした頃から使っている飼育ケージ、もうちょっと大きくしたいなぁ。せっかくだから自分の部屋に合ったを作ってみたいけど、どうやって作ればいいんだろ?
といった方向けに、市販品の棚の間にすっぽり入って、メンテナンス性も高い、ちょっと珍しい下開きタイプの爬虫類ケージの作り方をご紹介します。
なお、「ケージを自作するのはハードルが高い!」という方にはオーダーメイドという選択肢もありますので、ぜひそちらも検討してみてください。
宣伝:本記事は動画でも見ることができます
完成イメージ:頑丈&防水性能ばっちりです
一般的に販売されている飼育ケージだと高さがある製品が多いため、オープンラックの棚と棚の間にぴったり収納するのは非常に難しいですが、自作すれば簡単に解決できます。
また、下開き扉はガラスのスライド扉とは異なり、飼育ケージの前面が完全にオープンにできるため、非常にメンテナンス性の高いケージに仕上がりました。
材料と工具
今回作ったケージの製造費は総額約9,000円(塗料代含まず)でした。
木材は大体どこのホームセンターでも手に入りますが、金具類はホームセンターで探すとちょうど良いのが見つかりにくいので、通販の利用をオススメします。
材料一覧(店舗)
ホームセンターで揃う材料は以下の通りです。
- ラジアタパイン集成材(厚み19mm) 約3000円
- 光 スミホリデー 透明アクリル板 450×600mm 約2039円
- DCM バーベキュー網 35×21cm 2個 合計約800円
- ELPA ナイロンクランプ PH-874NH 約300円
- クッションシート 約300円
- 和信ペイント 水性ウレタンニス(つや消しクリア)
- ニッぺ ビンテージワックス ウォルナット
- アサヒペン 水性多用途カラー 白色
- トラスタッピングネジM4×16mm 28本以上
- 木ねじ 38〜57mm以内 20本以上
今回、ラジアタパイン集成材は端材を使ったので正確な費用はわかりませんが、幅が810mm、長さが1200mm以上あれば全ての材料が切り出せると思います。
ビンテージワックスや塗料などはこだわりの色があればそちらを使ってください。私は手持ちのものを使っています。
バーベキュー網は天板の通気穴として使うものなので、穴を開けるサイズを調整すれば別のサイズの製品を使ってもOKです。
また、木ねじは前面の見えるところに取り付けることになるので、茶色か黒色をオススメします。
私はDCMカーマっていうホームセンターで揃えたけど、多分コーナンとかでも揃うと思うよ。
材料一覧(通販)
通販を使った方が入手が簡単な材料は以下の通りです。
- スガツネ工業 前蓋用ステー S-25R
- スガツネ工業 前蓋用ステー S-25L
- ハイロジック 仙徳蝶番 89mm 2枚入
- uxcell ボックスラッチブロンズ 30×29×6mm 2個入り
- ベスト ハンドル アンティークブラス 64mm 0170-266
ここで重要なのは前蓋用のステーです。
背の低いケージにあまり大きなステーを使うと、ケージの上部と干渉したりしてうまく装着できないので、ステーが全開になった時の長さ150mm前後になるものを選んでください(今回はL=163mm)。
扉開閉用の蝶番は前面の見えるところに取り付けるため、黒色か茶色をオススメします。
ある程度の強度があれば種類は問いませんが、ステーと同様、あまりに大きな蝶番にすると前扉の支えになる板材からはみ出てしまうので、蝶番を開いた時の長さが収まるか事前に確認しましょう。
使用する工具
材料が揃ったら工具を揃えます。
- 木工ノコギリ
- 電動ドライバー
- ジグソー
- アクリルカッター
- 仕上げサンダ(もしくは普通のヤスリ)
- メジャー
DIY初心者の方は持っていない工具が多いと思うので、ホームセンターの工作室(大体無料です)を借りるか、自宅でやる場合は必要な道具をレンタルすると良いでしょう。
ジグソーは板の真ん中に大きな四角い穴を開けるときに使いますが、なくても電動ドライバーがあれば気合いで空けれなくもないです。
仕上げサンダーは時間をかけて手でヤスリがけするか、仕上げを気にせずヤスリがけもしない場合は不要です。
参考図面
ケージを作る際の板材は7枚で構成します。
パイン集成材はホームセンターで幅が810mm、長さが1200mm以上の板が売っていれば併設の木材加工コーナーで切り出してもらえると思います。
板の真ん中に空いている四角い穴はホームセンターの加工サービスでくり抜けないので、後で自分で加工するよ。
手順1:仮組み立て、下穴加工
ホームセンターで木材をカットしたら早速色々加工をしていきたい気持ちになるかもしれませんが、一旦ぐっと我慢してちゃんとカットできているのか確認しましょう。
仮組ができたら電動ドライバーにドリルビットを取り付けて下穴を空けておきます。
実際に作業するときはネジを何箇所か取り付けて組み立てたよ。
手順2:穴あけ加工
天板の通気穴と前面扉の観察窓用に四角形の穴を空けていきます。
まずは天板や前面扉をくり抜く位置に鉛筆で線を描いておきます。
寸法は適当ですが、穴が大きければ大きいほど強度は低下するので、外周から最低でも6cm以上は離してくり抜くようにしてください。
天板に関してはバーベキュー網のサイズより2〜3cm小さくくり抜くようにすると良い感じに固定できます。
私の場合、天板の通気穴は17×30cm(余白は5cm)、前面扉の窓は12×33cm(余白は6cm)の四角形の穴を2箇所空けたよ。
くり抜いたあとは切断面がガタガタになっていると思うので、尖った部分がなくなるようにヤスリがけします。
特に天板の通気穴は生体が鼻先を突っ込んで擦れてしまう可能性もあるので念入りに削りましょう。
切断面の凹凸が大きすぎてヤスリがけが大変な場合は鬼目ヤスリやノコヤスリといった、ゴリゴリ削れるタイプのヤスリを使うと高速で削れます。
のこヤスリでも大変な場合はパイプソーっていう綺麗に切れるノコギリを使ってうすーく切ってみると良いかも。
手順3:削り、面取り加工
今回作るケージは前面に開閉扉を取り付けるのですが、開閉部は蝶番で固定するので、見た目重視のためにノミでちょっと削っておきます。
集成板にノミを入れる時は接着方向に注意して削っていこうね。じゃないとこんな感じにぱっくり割れることがあるよ(この後作り直しました)
ノミで削る作業が終わったら塗装する前に木ねじで固定する穴の面取りをしておきます。
この面取り作業をしておくと木ねじで固定したときにねじの頭が飛び出なくなるので引っ掛けたりせず、少し安全になります。
インパクトドライバーで埋め込む手もありますが、割れる可能性もあるのでオススメしません。
12mmのドリルでいい感じに削るか、綺麗に仕上げるなら面取りカッターを使うことをオススメします。
手順4:塗装
板材の切り出しや面取り加工が終わったら塗装工程に入っていきます。
購入したパイン集成材であれば結構キレイな面なので省略できそうですが、一応全体的にヤスリがけして塗装面をキレイにします。
塗装面をキレイにしたら、塗装しない箇所にマスキングテープを貼って、段階的に塗装していきます。
今回はケージの外側にビンテージワックス、内側にはアクリル塗料を塗りました。
アクリル塗料は1度塗っただけでは木目が目立つので、2〜3度重ね塗りします。
私のように塗装に慣れていない人はほぼ間違いなく塗料が垂れるので、面倒ですが塗らないところにはマスキングテープを貼っておきましょう。
色付けが終わったら仕上げに全部の面に対してウレタンニスを塗っていきます。
和信ペイントの水性ウレタンニスは食品衛生法適合品なので、爬虫類が舐めるぐらいでは塗料成分が溶け出すようなことはないと思います。
弊社製品にある“食品衛生法適合”の表記は、水温60℃・試験時間30分の条件で、溶出する指定有害物質が規定量以下であることを意味しています
引用元:和信ペイント 商品ページ(リンク)
手順5:組み立て
加工した板材を組み立てる
板材に対する加工が終わったので全て組み上げていきます。
この時、板材同士はコーナークランプという直角に板材を固定するツールを使うと、ほとんどズレもなくぴっちりと組み立てることができます。
後ほど隙間をコーキングをしていくので、天板だけは組み立てずに次の工程に移りましょう。
板の間をコーキングして防水性を高める
せっかく板材に塗装を行なっても板の間に隙間が空いているので、そのまま何も防水加工をしないと糞尿をされた時に染み出す可能性があります。
隙間はホームセンターで売っているシリコンコーキング剤で埋めて、最後の防水処理をしていきます。
この時、先に天板を取り付けてしまうとめちゃめちゃ作業がしにくいので、天板は取り外した状態で作業することをオススメします。
天板部分はコーキングしなくても糞尿が溢れるようなことにはなりません。
生体の健康に影響するかもしれないので、コーキング剤は防カビ成分が入ってないものを選ぼうね。
天板にバーベキュー網を2箇所取り付ける
天板を取り付ける前に開いたままの穴に脱走防止用のバーベキュー網を取り付けます。
金属製の固定具があればちょうど良いですが、できるだけ尖った部品は少なくしたいので、今回は配線工事用のナイロンクランプを使いました。
網の太いところをちょうど良い感じに固定でき耐久性もあるので、我ながら適当に選んだにしては良いチョイスだったと思います。
前面扉にアクリル板を2箇所取り付ける
前面扉に観察用のアクリル窓を取り付けます。
アクリル板はホームセンターでも売っていますし、カットしたものを発注することもできます。
アクリルカット作業はアクリルカッターで何度かなぞるだけなので、不器用な人でも結構簡単に綺麗なカットができます。
この時、アクリル板に空ける穴のサイズはネジの大きさに対してミリ単位でゆとりを持たせるようにしてください。
ネジに対してギリギリのサイズにすると、アクリルが湿度で伸縮した時に歪んだり、最悪どこかにヒビが発生する可能性があります。
ケージに蝶番を2箇所取り付ける
前扉も作ってコーキングがある程度乾いた頃だと思うので、蝶番と前扉を取り付けていきます。
蝶番が黒いなら黒い木ねじを使うと目立たなくなります。
ノミで削って箇所は薄くなっていて通常より強度が落ちているので、蝶番をねじ止めする作業は必ず下穴を空けてから行なってください。
ここで木材が割れたら心が萎えて立ち直れません。
ちなみに私の時はちょっと割れたよ。コーキングで補修したけど結構ショック・・・
前蓋用のステーを2箇所取り付ける
蝶番を取り付けただけだと前扉がプランプラン状態になるので、左右にステーを取り付けてちょうど良い感じに開くように調整します。
- ステーを伸ばした時に前面扉が90度ぐらいになること
- ステーをたたんだ時に天板などと干渉しないこと
左右に固定したら天板を取り付けます。
何回か開閉して隙間がないか、どこかに干渉していないかなど確認してください。
前扉用に取っ手を取り付ける
ここまできたらあとちょっとです。
先ほど固定した前面扉に開閉用のハンドルを取り付けます。
ハンドルの種類はなんでも良いですが、全体的な色を合わせるために茶色っぽいものを選びました。
毎回引っ張るものなので木ねじで止めるより、貫通ネジで締めるタイプにしておくと、後々すっぽ抜ける心配が減ると思います。
ロック用の金具を取り付ける
このまま扉を取り付けても生体がぶつかったときにパカッと開いて脱走されてしまうだけなので、ロック機構を取り付けます。
ジュエリーケースなどに使われるボックスラッチという部品をケージ上部に取り付けて、内側から容易に開けられないようにしました。
ボックスラッチは2個入りなので、左右の2箇所に設置します。
真ん中1箇所にすると、コーンスネークが左右の扉の隙間に強引に頭をねじ込んで脱走する可能性があるよ。
傷つけ防止用にクッションマットを貼り付ける
オープンラックに設置する時にズリズリっと押し込むので、念のため余ってたクッションマットを貼り付けておきました。
ここは好みでも良いですが、耐震対策とかを考えている人はゲルマットとかも検討して良いでしょう。
剥がすときはウレタンニスの塗装が確実に剥がれますので、気になる方は貼らない方が良いです。
まとめ:下開きケージを使い続けた結果
といった感じで、今回は市販品のオープンラックにピッタリと収納できて、開放感があるおかげでメンテナンス性が抜群に良くなる下開きケージの作り方をご紹介しました。
作ってから2年半以上経った今でも使い続けていますが、中々に快適なのでいくつか改良して受注販売しようかと考えているレベルです。
下開きケージを作ってよかった点は以下の通りです。
逆に、次回作るまでに改善が必要だと思った点は以下の通りです。
特に棚とケージの隙間がほとんどないように作ってしまったため、ロック部分に手が入らないのは想定外でした。
しかしそれ以外の部分は運用上でなんとかなるレベルですし、今は棚の隙間を改善して普通にロックできるので、現状は不満点はほとんどありません。
ただ、木工工作で防水加工をするのは結構時間がかかって疲れるので、次同じものを作るにしても、アルミケージタイプにするかもしれませんね;