爬虫類を飼育する際にかかる電気代を計算してみました
生き物をお迎えする際、ついつい生体の状態や販売費、飼育設備などに目が行きがちですが、お迎え後の飼育費も気にしていますか?
今回は爬虫類の飼育について考えている・・・
家族が爬虫類を飼育したいって言っているんだけど、いったいどれくらい電気代がかかるのかしら・・・?
飼育用の保温器具を選びたいんだけど、保温ライトとパネルヒーター、どっちがお得なんだろう
といった人向けに、飼育設備を揃えた後にかかる電気代について、飼育設備ごとにどれくらいかかるのか計算してみました。
電力量料金の単価
一般的に電力量料金は1kWhあたりで記載されることが多いです。
1kWhがどれくらいの量なのか馴染みのない方向けに、環境省のデータを使って月当たりの平均電力消費量を計算してみます。
電力量料金はお住まいの地域(50Hz / 60Hz)や電力会社との契約プラン、1ヶ月ごとの使用料で変動しますが、平均すると1kWhごとの電気代は大体27円ぐらいです。
ここから計算すると東京など首都圏を含む関東地方で平均325kWh/月(8,775円/月)、寒さの厳しい北陸地方で513kWh/月(13,851円/月)ぐらいとなります。
地域 | 1世帯あたりの平均電力量(kWh/月) | 1世帯あたりの電気代(円) |
---|---|---|
北陸 | 513(全国で最も多い) | 13,851 |
関東 | 325 | 8,775 |
近畿 | 335 | 9,045 |
九州 | 369 | 9,963 |
沖縄 | 320(全国で最も少ない) | 8,640 |
大体の電気代を把握したところで、以降は爬虫類の飼育にかかる電気代を計算していきます。
設備ごとの年間電気代はいくら?
パネルヒーター編
パネルヒーターはヒョウモントカゲモドキやツノガエルなど、小型爬虫類のケージの下に敷いてケージの床をじんわり温める保温器具です。
各メーカーで色々な種類が販売されていますが、サイズが大きくなるにつれて消費電力も大きくなります。
使用例としてはレプタイルボックスならピタリ適温プラスの2号(消費電力8W)、エキゾテラの小型ケージなら3号サイズ(消費電力15W)を使うことが多いかと思います。
パネルヒーターは24時間365日つけっぱなしにする方が多いと思うので、年間の電気代は以下の通りです。
- ピタリ適温プラス 2号(8W): 年間約1,890円(月間約158円)
- ピタリ適温プラス 3号(15W): 年間約3,545円(月間約295円)
月々お菓子1袋で飼育ケージ1つがポカポカ空間になるって考えたらかなり安いかも?
ろ過装置編
ろ過装置は電動ポンプにより水を循環させ、装置内部の濾過材に水が通ることによって不純物や有害物質などを吸着する装置です。
水場が必要なミズガメなどに使われる装置で、投げ込み式の水中フィルターや外部フィルターと呼ばれる製品を使うことが多いです。
例としてGEXさんが販売しているカメ元気フィルターで計算してみましょう。
カメ元気フィルターの消費電力は約4Wで、40L以下の水槽で使える汎用的な小型フィルターです。
基本的には24時間365日付けっぱなしにするものなので、年間の電気代は以下の通りです。
- カメ元気フィルター(40リットル 4W):年間約945円(月間約79円)
- 水作タートルフィルター(150リットル 5W):年間約1,182円(月間約99円)
パネルヒーターみたいに熱を放出しない分、電気代はかなりお得になっているね。
保温ライト編
保温ライトは昼間や夜間にケージの内部を局所的に温め、ケージ内部で温度勾配を作ることのできる保温器具です。
フトアゴヒゲトカゲやリクガメなど、幅広い爬虫類で使用する機会があります。
また、ほとんどの保温ライトは1日に点灯できる時間が限られています(正確には長時間点けると熱で劣化するので、説明書などに記載されています)。
ここでは夜の間、1日8時間点灯と仮定して計算すると、年間の電気代は以下の通りです。
- バスキングスポットランプ(25W): 年間約1971円(月間約164円)
- バスキングスポットランプ(50W): 年間約3,942円(月間約329円)
- バスキングスポットランプ(75W): 年間約5,913円(月間約493円)
- バスキングスポットランプ(100W): 年間約7,884円(月間約657円)
光を出しながら空間を温めているので、パネルヒーターより消費電力が大きい製品が多いよ。
紫外線ライト編
紫外線ライトは昼行性の爬虫類達が体内でビタミンD3を生成する際に必要になる設備です。
明るさに勾配をつけられる電球タイプと、ケージ全体を満遍なく照らす蛍光管タイプの2種類の他、最近は小型で省エネなLEDタイプも出てきています。
飼育している爬虫類が小型で、ケージサイズも60cm前後なら大体はレプタイルUVBの13Wか26Wタイプで足りると思います。
また中型〜大型のリクガメなどを飼育する場合は、メタルハライドと呼ばれる超強力な紫外線を照射するライトを使うことがあります。
大量の紫外線を必要とする爬虫類用なので、もはや電気代を気にするような層が購入するものでもない気がしますが、一応参考までに載せておきます。
紫外線ライトは太陽光の代わりなので、1日あたりの稼働時間は保温球と同じ8時間程度と考えて計算してみました。
- レプタイルUVB 150(26W): 年間約2,050円(月間約171円)
- レプティサン10.0(蛍光管 54W): 年間約4,257円(月間約355円)
- パワーサンH.I.D(メタハラ 70W): 年間約5,519円(月間約460円)
Switchbotなどのスマートプラグで日照時間に合わせる場合、夏場は特に点灯時間が長くなって電気代が多くなるので気をつけようね。
生体ごとの年間電気代はいくら?
ここまでで飼育用品ごとに電気代を計算しましたが、実際に爬虫類を飼育する場合は複数の飼育用品を組み合わせて使います。
ここでは、私の飼育している生体を例に挙げてごとにざっくり計算してみました。
ヒョウモントカゲモドキ
ヒョウモントカゲモドキ(レオパードゲッコー)はアクリルケージなど小型の飼育ケージで飼育している方が多いです。
夜行性で紫外線ライトは必要ないので、保温用に8Wのパネルヒーターがあれば飼育できます。
よってヒョウモントカゲモドキを飼育してかかる電気代は約1,890円 / 年です。
ツノガエル
ツノガエルはレオパよりやや小さな飼育ケージで床材にウールマットを敷いて飼育している人が多いのではないでしょうか。
保温方法としてはヒョウモントカゲモドキと同じようにケージの下にパネルヒーターを敷くだけです。
苔リウムなど、レイアウトにこだわる方は滝の再現のために水中フィルターを使うぐらいでしょう。
よってツノガエルを飼育してかかる電気代は約1,890〜2,835円 / 年です。
コーンスネーク
コーンスネークの飼育にはレオパやツノガエルより大きな飼育ケージが必要です。
普段はトグロを巻いて小さくなるとはいえ、アダルトサイズの長さは1mを超えるので、飼育ケージのサイズとしては幅45cm以上は必要になります。
といっても紫外線ライトは基本不要とされているので、パネルヒーターの15Wタイプがあれば足りるでしょう。
よってコーンスネークを飼育してかかる電気代は3,545円 / 年です。
ニホンイシガメ
ニホンイシガメの飼育には広い水場と陸地が必要です。
安定的に飼育するなら飼育ケージは90cm以上が望ましいでしょう。
また、日が出てから活動する爬虫類なので太陽と同等の紫外線が必要になります。
屋内で飼育するなら紫外線ランプ、保温用のランプ、保温用のヒーター、水中フィルターなどで年間8,000円以上の電気代がかかります。
しかし、ニホンイシガメは日本の気候に適応している在来種なので、屋外での飼育が可能です。
屋外飼育の場合は太陽光がバスキングランプと紫外線ランプの役割を果たします。水替えも毎日行う場合は濾過装置も不要なので、実質電気設備は不要です。
よってニホンイシガメを飼育してかかる電気代は0円 / 年です。
サンドフィッシュスキンク
サンドフィッシュスキンクは元々エジプト周辺の砂漠に住む種ですので、保温ライトと紫外線ライトの両方が必要です。
普段は砂に潜っており、食事の時はホットスポットに集まってくれるので、ケージ全体を照らすようなレベルまではいらないかなとは思います。
私の環境の場合、保温ライトは50W、紫外線ライトは26Wタイプを1つずつ使っています。
よってサンドフィッシュスキンクを飼育してかかる電気代は5,992円 / 年です。
まとめ – 飼育設備を導入するならランニングコストも考えよう –
といった感じで、今回は爬虫類の飼育に必要な電気設備の電気代を計算して、私が飼育している爬虫類たちの飼育費の一部を確認してみました。
飼育用品 | 条件 | 年間の電気代 | 対象の生体 |
---|---|---|---|
パネルヒーター | 8W 24時間使用 | 1,890円〜 | レオパ、カエル、コーンスネークなど |
水中フィルター | 4W 24時間使用 | 945円〜 | ミズガメなど |
バスキングライト | 25W 8時間使用 | 1,971円〜 | ミズガメ、フトアゴなど昼行性のトカゲ |
紫外線ライト | 26W 8時間使用 | 2,050円〜 | ミズガメ、フトアゴなど昼行性のトカゲ |
基本的に熱を出すライトやヒーターといった設備は電気代がかかる傾向にありますね。
昼間に昼行用ライト、夜間に夜間用の保温球を使用するような環境だと年間の電気代は1万円を余裕で超えてきますので、狙っている生体にどのような環境が必要なのか、よく調べてからお迎えすることをお勧めします。