組立・分解可能なアルミフレーム『G-Fun』を使ったDIYの始め方【初心者向け】
屋内の棚や屋外用の設備をDIYする際、材料の候補として木材の他に金属材を検討されている方もいると思います。
しかし、金属加工は設備の導入ハードルが木材DIYより高く、DIY初心者にとってはややとっつき難いイメージがあるのではないでしょうか。
今回は最近個人向けにホームセンターで購入でき、初心者でも簡単に金属材料DIYができる製品として人気のアルミパイプ構造体『G-Funシリーズ』について、
アルミパイプ?興味はあるけど、何から始めればいいかわからないし、設計するセンスもないわぁ・・・
金属フレームを使ってDIYをしたいけど加工する道具もないし、そもそも個人でフレームを仕入れるなんてできないよ・・・
といった方向けに、実際に個人がパソコンと六角レンチ1本でアルミパイプ(アルミフレーム)を発注して組み立てまでした際の手順をまとめてみました。
G-Funを使ったDIYは、準備さえ間違わなければ木材でDIYするよりも短い時間と労力で作品が完成するよ。
一度購入した部品は基本的に何度でも使いわませるから、最初は失敗することが多いDIY初心者にもオススメ!
アルミパイプ構造体 G-Funとは?
今回紹介するアルミパイプ構造体の製造元であるSUS株式会社は、元々工場向け機械装置や住宅用アルミ構造材など、ものづくりに関わる製品を広く展開している会社です。
G-Funフレームは、工場向けの軽量アルミパイプ構造材(GFシリーズ)を一般のユーザー向けに横展開して販売したものです。
このアルミフレームで特徴的なのは、フレームとフレームを繋ぐコネクタの形状で、片側は中空フレームの中をボルトの上下で押し広げて保持し、もう片側はフレームの出っ張りを外から挟み込むことで固定されます。
六角レンチ1本で組み立てができるので、過去にこのブログでイレクターパイプを使って屋外ケージを製作した時のような接着作業も不要です(ちなみに矢崎化工さんのイレクターシリーズにも六角で固定する金属コネクタがあります)。
G-Funのアルミフレームを使ったものづくりをするメリットとデメリットは以下の通りです。
ボルトで締めているだけなので人の体重を支えるまでの強度はないですが、
初心者でも軽くて丈夫で整った見た目の物が自作できるところがオススメポイントです。
G-Funのメリットとデメリットは以下の通り。
ちなみに企業の工場設備向けのGFシリーズとG-Funは全く同じ見た目だけど、公式の限界強度とかの数値データが結構違うよ。詳しくはGFシリーズの強度と、G-Funシリーズの強度を参照してね。
自作の第1歩:頭の中のイメージを書き出す
ここまで読んで「G-Funを使ってみたい!」と思った方はここからが本番です。
まずは作りたいもののイメージと大まかなサイズ感を整理して、機能や必要な部品を洗い出しましょう。
稀に頭の中にある設計図だけで作れる人もいますが、初めてで慣れないうちはまず頭の外に出すことから始めることをお勧めします。
以下はG-Funを使って自作する際の基本的な出力方法3パターンを紹介します。
簡単な構成ならポンチ絵だけでもいける
作るものが単純な形であれば、コピー用紙に直方体を組み合わせた絵を描いて寸法を記入するだけでもそこそこ失敗せずに作れます(いわゆるポンチ絵の作成)。
具体的には本棚やオープンシェルフ、持ち運びボックスなどの箱物です。
外寸か内寸のどちらかが記載されていれば、フレーム寸法シミュレーターで必要なフレームのサイズを簡単に調べることができます。
例えば本棚を作る際、壁の幅や奥行きなど、絶対に動かせない寸法だけでも記入されていれば、
高さ方向はフレームをつかむ位置を変えるだけなので失敗しにくいです。
ちなみに、3段の棚であれば3段棚専用のシミュレーターで寸法を入力するだけで部品リストと価格が出てくるサービスがあります。至れり尽くせりですね。
絵に書き出すだけでも失敗する確率はグンと下がるから、ちょっと面倒臭いけど、チラシの裏でもいいので頭の外に出すのがオススメだよ。
CADができなくてもポンチ絵から図面を作ってくれるサービスがある
前の項目で簡単な絵を描き出せた人は自作成功率がグンと上がっていますが、ここから更に成功率を上げる方法があります。
G-Funのテクニカルサポートでは、あなたの書いた図面からプロが綺麗な図面に書き直す神サービスがあります。
大量の部品の中からプロの目線で最適な部品を選んで各フレームの寸法計算もしてくれる上、購入が必要な部品をリスト化してくれるので、「部品買い間違えた〜!」とか「計算ミスって組み立てできない・・・( T _ T )」といったリスクを減らすことができます。
しかも図面化を含むテクニカルサービスの利用は無料です。
依頼から最初の図面完成まで2週間前後かかりますが、後から修正の依頼もできます。
図面完成後、提案された部品を買っても買わなくてもお金は発生しないので、ポンチ絵まで描いた人は是非一度利用することをおすすめします。
ちなみに図面化サービスの利用にはG-Funのアカウント登録が必要です(無料)。
最終的に部品を買うか買わないかは置いておいて、図面作成サービスはプロの人が手作業で対応しているので、イタズラ目的での依頼は絶対にやめようね。
ちなみに私は本業の方で図面化サービスを利用したよ(大体10日ぐらいかかった)。
専用の無料CADソフト(UnitDesign)で図面化できる
「最初から最後まで自分で考えて作りたい!」「依頼で伝わりにくい細かい調整を自分でしたい」といった玄人思考の方はSUS社が提供する3D CAD(UnitDesign)の利用をおすすめします。
UnitDesignは企業 / 個人問わず無償で使用できるアルミ構造体専用のCADソフトです。
豊富な商品ラインナップの中から部品を選択し、フレームの長さやコネクタ接合位置などを確認しながら設計できるので、色々といじりながら自分のイメージをより具体的化することができます。
使い方などはここで説明すると長くなるので今回は割愛しますが、3D CADど素人の私でも半日ぐらいあればハコモノの設計ぐらいはできるレベルです。
(需要ありそうなら別記事にします)
14日間の試用期間+無制限利用にはライセンス登録とアプリの導入が必要なのでちょっと面倒ですが、個人でも永久無料で利用することができます。
は細かい調整がしたかったのと、何となく3D CADを使ってみたかったからUnitDesignを使って設計したよ。
G-Fun(GF)シリーズ以外の設計にも対応しているから、SFシリーズやBFシリーズを使ったDIYにも興味がある人はチャレンジしてみていいかも。
23.10.08 追記:新しい設計ソフトがリリースされました
SUS社がUnitDesignの後継ソフトであるアルミプロダクトデザイナーをリリースしました。
今から設計を始める方はこちらのソフトを使った方がスムーズだと思います。
自作の第2歩:必要な材料を揃える
ここまでで必要な部品をリストアップできたら、次は実際に形にするための材料を購入しましょう。
一般のユーザーが使える購入ルートは、基本的にホームセンターでの購入かオンラインストアの2択になります。
規格寸法のフレームでいいならホームセンターで購入できる
G-Funの部品は全国展開のホームセンターで購入することができます。
記事作成時点(22年2月)だと、DCMグループの資材コーナーなどで取り扱っているようです(店舗によってレイアウトは異なります)。
もし以下の3点のどれかに当てはまる場合、店舗での購入を検討しても良いかと思います。
- 規格寸法のフレームと汎用的なコネクタしか使わない人
- 自宅に『電動丸鋸』『金属用ノコギリ』『専用パイプカッター』のどれかを所有している人
- 取り扱い店舗が近所にあり、ちょっと部品を買い足したい人
作ったものを配置するスペースに余裕がある場合は、配置スペースにきっちり合わせずに規格寸法に合わせるように設計すると無加工で入手できるので楽です。
SUS社が出荷している規格寸法のフレームは以下の通りです。
- 50mm
- 100mm
- 300mm
- 450mm
- 600mm
- 1000mm
- 1900mm
- 3000mm
逆にこれ以外の寸法のフレームで作る場合は、規格寸法購入後にホームセンターで切ってもらうか、自分で切るかの2択になります。
ホームセンターだとカットサービスがあるのでそちらを利用することもできますが、1本あたりのカット費用が数十円発生するので、数量が多い場合は地味にお財布にダメージです。
特に土日や長期連休はカットサービスが混雑することが多いので、あまりにも加工する部材が多いと若干気まずい思いをするかもしれません。
ちなみに長期休暇の時期は、混雑緩和のためにカットできる本数に上限がかかっていたりするので注意が必要です。
公式では自分で切断する用に『GFunハンディカッター(SGF-0329)』が売っているけど、税込で14,800円とべらぼうに高いからオススメしないよ。
これを買うぐらいなら金属ノコギリか電動丸鋸を購入した方が後々応用が効きやすいかな。
ちなみに公式サイトでも切断方法は詳しく紹介しているから、そっちを参考にしてね。
任意寸法のフレームが欲しい場合はG-Funオンラインストアが便利
アルミフレームの材料集めで圧倒的にオススメなのは公式オンラインストアでの購入です。
特に、以下の3点のいずれかに当てはまる場合は利用しない手はないでしょう。
- 自宅の近くに取り扱い店舗がない人
- 任意の長さのフレームを税込5,500円以上購入する人
- 初回利用、または誕生月が近い人
G-Funオンラインストアの最大の魅力は、全ての商品の取り扱いがあり、かつフレームがカットされた状態で入手できることです。
SUS社が直接販売しているので、ホームセンターに置いていないであろう特殊な色(例えば黄色)のフレームや特殊なコネクタも取り扱っています。
フレームは1mm単位で切り売りしてくれるので、自分で切った時と比べて切り間違えなどのリスクを最小限にすることができます。
ちなみに切り売りはアルミ複合板やPP板、ポリカーボネート板もやってくれます。
自分で買ってきて作業すると端材の処理が面倒だったりするので非常に助かりますね。
CMグループの通販サイトでも取り扱いはあるけど、フレームの切断は未対応だよ。
『SGF-0220』とかのG-Funの型式検索にも対応していないので、もしホームセンターの通販を利用する場合は部品の選び間違いに注意してね。
そんな便利なオンライストアですが、唯一のデメリットとしては部品価格が店舗で購入するより高い傾向(ざっくり5%増)があることです。
1900mm規格寸法のNフレームでの例ですが、ホームセンターでの販売価格が税込767円に対し、G-Funの通販だと税込806円と39円割高でした。
ホームセンターで購入すればポイントも付くので、大量に購入する場合は結構な差額になると思います。
ただ、公式オンラインストアでは新規登録後、一定の手順を踏めば以下の3つのクーポンをゲットできるので、うまく活用すれば店舗で購入するよりお得に部材を集めることが可能です。
- 20%OFFクーポン:アカウント登録後、アンケートに回答すれば即発行
- 10%OFFクーポン:誕生日登録後、毎年誕生月の初日に発行
- 500円OFFクーポン:誕生日登録後に即発行
※2022年2月時点の情報です
SUS社の公式オンラインストアは2つあって、1つは個人向けの『G-Funオンラインストア』、もう1つは法人向けの『ウェブサス』が用意されているよ。
ウェブサスの方がG-Funより2割ぐらい価格が安いけど、個人ユーザーはG-Funのオンラインストアを使うように促されるから、ウェブサスでは購入できないと思うよ。
(もし個人で購入に成功した人がいたらこっそり教えてね!)
自作の第3歩:設計図通りに組み立てる
設計図も材料も揃ったらあとは組み立てるだけです。
組み立てるものは人それぞれなのでこの記事では割愛しますが、組み立ての際に多少手が汚れたりするので、軍手を用意しておいた方が作業が捗ります。
また、フレームの高さ調整のためにコネクタの数以上に六角レンチを使用する機会が多いので、できれば片側にボールがついているタイプの六角レンチを使用することをオススメします。
趣味と仕事でそれぞれ1回ずつ組み立て経験があるけど、組み立て自体はめちゃめちゃ簡単だったよ。
実際に亀用の屋外ケージを作った時の話もまとめてみたので、気になる人は読んでみてね。
まとめ:アルミフレームDIYは木工DIYより簡単・・・かも?
といった感じで、今回はSUS株式会社のアルミフレームを使ったDIYの始め方をご紹介しました。
- 金属材料を使ったDIYの中でもG-Funシリーズは特にDIY難易度が低く、六角レンチ1本で作れるのでオススメ
- 手書きで書いた設計図をネットにアップすれば設計のプロが図面にしてくれる公式サービスがある
- 自分でこだわって設計したい人向けに公式で無料の3D CADソフトが配布されている
- G-Funを初めて購入するなら最大20%OFFのクーポンが使えるG-Funオンラインストアがオススメ
G-Funフレームをホームセンターで取扱始めたのが2017年9月らしいので、木材DIYに比べればまだまだ歴史が浅く、馴染みのない部材かもしれません。
この記事をきっかけにG-Funで作る人が増えて、面白いアイデアの作品が見れればいいなと思います。
公式サイトで定期的にアイデアコンテストとかも開催しているようなので、何か作ったら是非応募してみてください。(過去大会は10万円分のQuoカードとかが貰えたらしいです)
ちなみに私がG-Funを使うにあたって、テクニカルサポートに何度か問い合わせしたことがあるけど、全員(計4人)めちゃめちゃ丁寧に対応してくれたよ。
なG-Funに興味のある人でわからないところがあったら気軽に1度サポートに相談してみるといいかもね。
もちろん、私のブログのコメント欄やSNSでも質問してくれたら答えられる範囲で答えるよ。
23.10.08 追記:コンテストに入賞しました
DCM × SUS共同企画のG-Fun DIY コンテストで屋外亀池が入賞しました。
副賞でもらった1万円分のポイントはDIY用品に全部注ぎ込みました。