【初心者向け】ミルワームを効率よく繁殖・ストックする飼育方法
レオパなどの小型爬虫類を飼育している方達の活き餌として、コオロギやミルワームがよく使われています。
海外だとレオパの主食にもなっているようですが、日本国内だと主食というよりおやつ感覚でたまに購入するぐらいで、正直持て余している方もいるのではないでしょうか。
本記事ではミルワームについて、
試しに1カップだけ買ってみたけど、あんまり使わないし、冷蔵庫に保管している間にどんどん死んでいくから使い勝手が悪いわぁ・・・
ミルワームを増やしていきたいと思っているけど、どんな方法で飼育すれば良いのかわからないなぁ・・・
といった方向けに、ミルワームについて以下の3点をまとめました。
- 基本的な飼育方法
- できるだけ死なせずにストックするための注意点
- 効率的に繁殖して無限供給する方法
みんなも放っておいても無限に増えるミルワーム達を眺めて、お金が有り余っている富豪の気持ちを疑似体験しよう!
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究極の生ゴミ処理屋さん、ミルワームとは?
ミルワームの正式名称はチャイロコメノゴミムシダマシというヨーロッパ由来とされている昆虫です。
海外では穀物を食べる食品害虫として扱われていたりするようですが、国内では主に養殖で繁殖しているのみで、野生下での繁殖は確認されていないようです。
基本的に雑食性で、穀物以外にも野菜や肉など何でも食べます。
数日おきに野菜クズを適当に与えるだけでも勝手に育つので、飼育のしやすさでいえば油断しているとすぐ死ぬコオロギより断然楽です。
また、成虫も幼虫も食べるものはほぼ同じなので、繁殖ペースがほどほどでいいのであれば同じケージでも飼育できます。
室温25℃、湿度50%ぐらいの平均的な環境での寿命はおおよそ半年程度とされていますが、低温下では成長が遅くなって寿命が延び、高温ではより早く成長して増えていきます。
日本の気候で1年間安定的に育てたい場合は屋外ではなく屋内、それも冬の間は保温できる環境での飼育が必要です。
ミルワームの見た目がアレなのと、本体はほとんど無臭だけど、餌と糞のにおいがフワッと部屋の中に香るので、同居している人がいれば一言伝えておこうね。
ミルワームの基本的な飼育方法
飼育ケースは高さより広さで選ぼう
どの昆虫を飼育するにもまずは飼育ケースを用意しましょう。
真っ先に思いつくのは虫かごですが、ミルワームの飼育ケースに求める要素は以下の通りです。
- 内側がツルツルしていて登りにくいこと
- 高さが10cm以上あるか、フタ付きであること
- 湿気が溜まりにくい構造であること
- 床面積ができるだけ広いこと
ミルワームの足はゴキブリのように壁を走る機能はないので、脱走防止のためにわざわざ背の高いケースで飼育する必要はありません。
高さの目安はケースの底から10cmもあれば脱走の心配はないと思いますが、床材を極端に厚く敷く場合は注意しましょう。
また、ある程度過密に飼育すると共食いや、幼虫のさなぎ化の遅れで勝手に減るので、最大効率で増やしたい人は大きなケースを使うか、小さなケースを小分けしてください。
床面積が広いほど共食いする確率が減るので、高さより広さを優先するのが良いと思います。
また、ふとした拍子に飼育ケースを倒してしまうことも考えられるため、飼育ケースにフタはしておいた方が良いでしょう。
野生下ではジメジメした床の上に落ちている腐った穀物に群がる様子が見れるようですが、通常は乾燥を好みますので、全体的には風通しの良い環境が望ましいです。
フタの形状は通気穴が網目になっていて、隙間が1mm程度のもの選ぶことをオススメします。
逆にコバエシャッターなど、
極端に湿気のこもりやすい飼育ケースは餌がカビる原因になるのでオススメしません。
普通にダイソーで300円で売っている虫かごが優秀だよ。
他にも事務用の引き出し式トレイや衣装ケースなんかも考えられるけど、引き出し式トレイは背が低いので脱走に注意する必要があるし、衣装ケースは高さが過剰でスペースが勿体無いので、小分けにして重ねる方がおすすめかな。
餌は何でも食べる。基本は水分を含んでやわらかいものが好き
ミルワームは生物が食べられるものは大抵なんでも食べれます。
- ふすま(ブラン)
- 米ぬか
- パン粉
- 野菜クズ / 果物の皮
ふすまはミルワームをカップで購入すると必ずついてくる小麦の表皮部分を剥いたものです。
栄養価が高く、ほとんどふすまだけで育てている人もいます。
米ぬかは精米コーナーに行けば無料で手に入ることの多いためか、国内で特に人気なようです。
ふすまと比べて米ぬかの栄養価が低いとされていますが、米ぬかだけで育てている人がいるみたいなので、意外とそうでもないのかもしれません。
パン粉はふすまや米ぬかと比べて、スーパーにいけば必ずおいてあるので入手性は抜群です。
これらの乾燥餌とは別に、ミルワームは水分の多くてやわらかいものを好むので、追加の餌として野菜クズなど水分を含んだものを与えましょう。
夏場にナマモノを与えるとはどうしても臭いがキツイので、刻んで食べやすくしてから与えるか、水分補給用に昆虫ゼリーを常備しておくと臭いを抑えながら水分補給できます。
ちなみに直接霧吹きで水分補給させることも考えられますが、
霧吹きでの水分補給は床材が痛む可能性があるので個人的にはオススメしません。
霧吹きするにしてもケースの片側だけなど、乾燥地帯と水分を含んだところを分けて、通気性の良いところに保管してください。
また、育てたミルワームは最終的に爬虫類の餌になるので、玉ねぎやニンニク、じゃがいもやほうれん草など与える生き物にとって毒になる食べ物は与えないようにした方が無難です。
ミルワームに玉ねぎなど有毒なものを与えて、もし未消化のまま爬虫類に給餌すると、爬虫類たちが間接的に玉ねぎを食べたことになるよ。
床材はやや厚めに敷いて粗い粒と細かい粒を混ぜるのがオススメ
ミルワームの幼虫は野菜クズから出た汁でも溺れ死ぬことがあるので、床材を敷いた方が無駄に死なせずに効率良く育てることができます。
餌にふすまや米ぬか、パン粉などを使っている場合は、餌がそのまま床材になるので、5cm以上の厚みになるように敷くとちょうど良いでしょう。
生まれたてのミルワームは飼育ケースの底にいることが多く、床材が浅すぎると大きいミルワームに食べられてしまう可能性が高くなります。
効率を求めないなら床材は浅くても良いかと思いますが、厚く敷いた方が住み分けができるので繁殖効率は良くなります。
また、ふすまなどの粒子が細かく、軽い餌を床材にする場合は、成虫がひっくり返ったときに起き上がれなくてそのまま餓死する可能性があります。
餌の床材とは別に、表面に砕いた落ち葉や木の削りカスなど、成虫がひっくり返った時に足場になるぐらい目の粗い粒を入れてあげると生存率が上がるようです。
私は足場がわりにウサギの餌を入れてたよ。
最近は繁殖用に成虫専用飼育ケースで過密飼育しているけど、成虫同士で触れ合って足場になるから、特に何もせずふすまだけで飼育しているよ。
早く育てるならあたたかい環境にする
ミルワームをエアコンの効いた部屋で飼育していると、活動的に動き回る様子が観察できます。
具体的な室温としては25℃以上に設定すれば早く育ってくれます。
もしレオパやコーンスネークなどを育てていて、年中エアコン管理している部屋があるなら、同じ部屋で育てたほうが効率的です。
あたたかい環境であるほど成長が早くなり、成長が早くなって身体が大きくなると共食いによる損失が少なくなります。
寒さに関してはエアコンをかけていない場合、秋から冬にかけて目に見えて成長が遅くなります(20℃を下回ると寒いっぽい?)。
室温を段階的に下げていくにつれて成長速度が落ち、寒い環境で長期間幼虫の状態が続くとさなぎになれず、成長不全でポツリポツリと死に始めます。
昼はあたたかくて、夜間だけちょっと寒いぐらいなら大丈夫ですが、できるだけ高い温度を維持するようにしておきましょう。
湿度は50%程度あれば良い感じですが、夏場など、常時ケース内が多湿な状態はカビの発生原因となるので注意が必要です(経験的に死亡率が高くなる傾向があります)。
蒸れるぐらいなら乾燥気味にして、適度に湿気を与えたほうが育てやすいです。
乾燥した分、水分を含む野菜や昆虫ゼリーなどを入れて水分補給できるようにしましょう。
温度に関しては私の肌感覚なところもあるから、参考程度にしておいてね。
ミルワームを死なせずにストックするための注意点
おやつとして食べさせる程度なら小さな幼虫のカップを選ぶ
爬虫類ショップやホームセンターで生きているミルワームを探すと、おそらく保冷庫の中にカップに入れられて並んでいると思います。
温度を下げると成長が遅くなるので、在庫として店頭に並ぶ時間が長くなりますが、仮死状態になるまで温度を下げて保管していない場合は、ちょっとずつ成長しています。
飼育している生体が普段別の餌を食べていて、おやつとしてミルワームを与えるなら、
ミルワームが小さい状態のカップを購入した方が長持ちします。
お店の保冷庫で長いあいだ育ったミルワームは、結構な数がカップの中で死んでいるので、すぐ使う予定がないなら新しいカップを選ぶことをオススメします。
- カップを横から覗いた時に下半分に糞が溜まっていない
- 上部にミルワームの脱皮殻が溜まっていない
成長して大きくなったミルワームはセール価格で売られていたりするから、すぐに使い切るならそっちの方がお得かも?
成長を遅くするために冷やしすぎると脱落する個体が出る
買ってきたミルワームを成長させずにストックする場合、冷蔵庫での保管が第1候補になります。
ただ冷蔵庫は温度にムラがあり、置き場所によっては0℃近くまで冷えてしまうかもしれません。
身体が丈夫と言われているミルワームですが、個体差はあるので、0℃に近付くほど寒さに耐えきれずに黒くなって死んでしまう個体が出てきます。
どうしても冷蔵庫の中で保管する場合、野菜室が第一候補になります。
野菜室は冷気が直接送風されず、温度が0℃にならない程度に高めに設定されているので冷えすぎを防ぐことができます。
冷蔵室で保管する場合は、温度設定を高くして、冷気口から離れた位置に置くと冷えすぎを防ぐことができます。
間違っても冷凍庫に入れて凍らさないように注意してね。
個人的には1カップ程度なら1〜2ヶ月ぐらいで使い切ることをオススメするよ。
1匹でもさなぎになったらさなぎだけ隔離するか廃棄する
ミルワームが飼育ケースの中でさなぎまで成長した場合、なるべく早くさなぎだけを飼育ケースから取り出してください。
ミルワームは幼虫の近くにさなぎがあると、まだ小さな幼虫も誘発されてさなぎになり始める傾向があります。
さなぎの方がやわらかいので好んで食べる生体もいますが、幼虫しか食べないようなら誘発されないように隔離したほうが良いでしょう。
基本的に冷蔵庫で冷やしている間はさなぎになりにくいよ。
ミルワームを本気で繁殖する方法【2022年版】
さなぎは共食いのターゲットになるので見つけ次第隔離する
ミルワームはめっちゃ共食いします。
ある程度の大きさの幼虫と成虫は同居してもほとんど共食いしませんが、さなぎ状態になると何もできずに食べられる確率が上がります。
経験上、成虫とさなぎの同居が最も共食い率が高いです。
また前述の長持ちさせる方法でも書きましたが、さなぎが幼虫と同じケージ内にいると、まだ体の成長していない幼虫もさなぎになろうとします。
未成熟の小さなさなぎは羽化率が低く、仮に羽化できたとしても奇形になることが多いです。
成虫としてできるだけ長く生きて繁殖してもらう必要があるので、効率を求めるならさなぎはさなぎ用のケージに移動した方が良いでしょう。
ちなみに私は面倒くさがりなので、特にさなぎを分けていないよ。今のところミルワームを主食にする子が少ないから、数が減らずに維持できればOKかな。
水分過多は色々危険。でも水分補給の方法は常に確保が必須
果物や野菜など、水分の多い餌を与える際は水洗い時の水気を切っておくと、変に溺死する可能性が低くなるので安全です。
また、昆虫ゼリーを与える時は、容器がついたまま斜め方向に差し込むように与えた方が床材も濡れないし、ゼリーの水分が床材に吸われて変にカピカピに乾燥しないのでオススメです。
なお、脱皮後やさなぎ化前の幼虫、羽化後は身体の水分が少なくなっているので、
水分補給の方法は常に確保しておいた方が生存率が高くなります。
飼育ケージの中はほどよい湿度(50%)が理想ですが、湿度が全体的に高い状態が続くと、突然幼虫がバタバタと死に始めます。
逆に水分も与えずに極端な乾燥状態になると、ミルワームがさなぎから成虫になれなかったり、成虫になっても羽が欠けるなど奇形になりやすいので注意が必要です。
飼育ケースの中で水分を含んだ餌が置いてあるエリアと、乾燥しているエリアを分けてあげると、ミルワームの方から調整してくれますので、うまく使い分けるようにしましょう。
ちなみに経験上、大きく育った幼虫をいきなり高温の環境に移すと、温度差の影響なのか一晩で一気にさなぎになってくれるよ。
可能な限り1匹あたりの床面積を広くとる
ミルワーム同士の共食いを減らす確実な方法は、ミルワーム同士の遭遇率を下げることです。
過密に飼育するとミルワームがさなぎになりにくくなる傾向があるため、繁殖効率を取るなら広い飼育ケースで飼育することをオススメします。
また、床材の厚みもある程度は必要です。
生まれたばかりの小さいミルワームは、糞が溜まって粒子の細かいケージの底にいることが多いので、浅いと大きいミルワームと同居することになり、共食いの確率が高くなります。
餌は栄養価の高いものを与える
ミルワームは餌の質で成長速度が大きく変わります。
もし床材にふすまを使っているなら、ふすまだけでなく色々な餌を与えましょう。
床材として使うならふすまの他にも米ぬかや金魚の餌、砕いたドッグフード、変わり種だと古くなった粉ミルクなんかも混ぜている人がいるようです。
オススメの組み合わせは研究中ですが、ふすまだけに偏らない餌であることが大切なので、無理のない範囲で余った粉系のものと合わせるのが良いでしょう。
まとめ
といった感じで、今回はミルワームの基本的な育て方から、ミルワームの購入後にストックする派と増やす派の2つの観点で私なりの方法を紹介しました。
- 飼育ケースは高さより広さ優先。床材は5cm程度がオススメ
- 飼育温度は繁殖目的なら25℃以上、ストック目的なら20℃以下
- 餌はふすまや米粉など乾きモノを中心に、補助として水分を含んだ野菜クズなどを与える
- 餌の栄養価は成長速度に直結する。1種類にこだわるより色々与えるとよい
- 乾燥した環境でも常に水分補給が必要。全体を霧吹きするより野菜クズやゼリーを与える
- さなぎは共食いのターゲット。さなぎだけ隔離するかすぐに餌として消費する方が良い
ミルワームの飼育方法を調べると、個人で色々な育て方が公開されていて、しかもどれもうまく増えているように感じます。
ただ、実際にどれくらい増えているのか数値的にわからないので、
繁殖などで最高効率を求める場合は、実際に色々な方法を試して確認する必要があります。
私もまだまだ手探りな状況なので、この記事も良い方法を見つけ次第修正していくと思います。
ミルワームの餌と成長速度の影響については、個別で比較実験しているから、試して欲しい餌があれば、是非ブログやYouTubeのコメント欄とかでリクエストしてね!
その他、育て方とかの実験依頼も募集中だよ!